お酒を飲んだ翌朝、だるいのはなぜ?飲酒と睡眠・脱水の関係
こんな経験はありませんか?
昨日は普通に飲んだだけ。
朝起きても、頭は痛くない。
吐き気もない。
でも、
「なんかだるい」
「寝たはずなのに疲れてる」
という朝。
私自身もあります。
こういう日は、
「水を飲まなかったからかな」
と思いがちです。でも調べてみると、どうもそれだけではないようです。
「だるさ」も飲酒翌日によくある症状のひとつ
Section titled “「だるさ」も飲酒翌日によくある症状のひとつ”二日酔いというと、
- 頭痛
- 吐き気
- 胃の不快感
を思い浮かべる人が多いと思います。
でも、二日酔いの症状はそれだけではありません。
厚生労働省のe-ヘルスネット「二日酔いのメカニズム」では、二日酔いの定義や診断基準はまだ示されていないとしたうえで、症状として頭痛・胃腸症状・睡眠障害・感覚や認知の障害・うつ気分・自律神経症状などを挙げています。
アメリカの国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)も、二日酔いの典型的な症状として、頭痛や吐き気と並んで疲労感(fatigue)や脱力感(weakness)、のどの渇きなどを挙げています。
また、オランダの大学生約1,400人を対象にしたアンケート調査では、直近の二日酔いで最も多く報告された症状は疲労感(95.5%)で、次がのどの渇き(89.1%)でした。この研究では、眠気・疲労感・だるさといった症状のまとまりと、集中しにくさなどの認知面の不調が、二日酔いの主な特徴だったと報告されています。
つまり、「頭は痛くないけど、だるい」というのも、飲酒翌日の症状としてはめずらしくない、ということです。
ただし、これらは主に「多く飲んだ翌日」についての情報です。朝のだるさは仕事の疲れや寝不足、体調などでも起こるので、翌朝だるいからといって、それが必ず二日酔いだとは言えません。
そもそも原因はひとつではない
Section titled “そもそも原因はひとつではない”では、なぜ飲んだ翌日にだるくなるのでしょうか。
e-ヘルスネットによると、二日酔いの症状がどのような仕組みで起きるのかは、まだ不明な点が多いとされています。
そのうえで、関係しうる要因として、
- 軽い離脱症状
- ホルモンの変化による脱水や低血糖
- 体の酸塩基平衡(酸性・アルカリ性のバランス)や電解質の乱れ
- 炎症反応
- 睡眠や生体リズムの乱れ
- アセトアルデヒド
- お酒に含まれるメタノールや不純物
などが挙げられています。そして、どれか一つが原因というよりも、これらの要因やまだ分かっていない要因が複雑にからみ合って起きる、という説明が最も的を射ているだろう、とされています。
ここからは、その中でも翌朝の「だるさ」と関係がありそうなものを見ていきます。
理由1:寝た時間と「睡眠の質」は同じではない
Section titled “理由1:寝た時間と「睡眠の質」は同じではない”お酒を飲むと眠くなります。
だから、
「お酒を飲むとよく眠れる」
と感じることがあります。
でも、「寝つきやすい」ことと「睡眠の質がよい」ことは別です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、アルコールは一時的には寝つきを促進し、睡眠の前半では深い睡眠を増やすものの、睡眠の後半の眠りの質は顕著に悪化し、飲酒量が増えるにつれて夜中に目が覚める回数が増えることが報告されている、と説明されています。
NIAAAも、お酒を飲むと早く眠りにつくことがあっても、眠りが途切れがちになり、早く目が覚めやすいとしています。そして、これが疲労感の一因になると説明しています。
研究のまとめを見ても、
- 健康な人を対象にした研究を整理したレビュー(2013年)では、飲酒量にかかわらず、寝つくまでの時間が短くなり、睡眠の前半はまとまる一方で、後半は眠りが乱れやすくなる
- 27の研究を統合したメタ分析(2025年)では、睡眠の段階の一つである「レム睡眠」が始まるのが遅れ、その時間が短くなることが確認され、比較的少ない量(論文の定義では体重1kgあたり純アルコール0.5g以下)でもレム睡眠への影響が見られ、量が増えるほど大きくなっていた
と報告されています。
一方で、このメタ分析では、総睡眠時間や、寝ついたあとに目が覚めている時間への影響ははっきりしなかったとされています。寝つきが早くなる効果も、多く飲んだ場合(体重1kgあたり0.85g以上)にしか確認されませんでした。研究によって結果が分かれている部分もある、ということです。
それでも、
「7時間寝たのに疲れが取れていない」
という朝は、睡眠時間は足りていても、眠りの中身がいつもと違っていた可能性がある、と考えることはできそうです。
飲酒と睡眠の基本的な関係については、飲酒と睡眠の関係で整理しています。
理由2:水分バランスへの影響
Section titled “理由2:水分バランスへの影響”「飲んだ翌朝はのどが渇く」
これも多くの人が経験していると思います。
NIAAAによると、アルコールは腎臓に水分をため込むよう指示するホルモン(バソプレシン)の分泌を抑えるため、尿の量が増え、水分が多く失われます。その結果起きる軽い脱水が、のどの渇きや疲労感、頭痛といった症状に関係していると考えられています。
e-ヘルスネットでも、酔っているときは尿の量を減らすホルモン(抗利尿ホルモン)の分泌が少なくなり、尿の量が増えて体が脱水傾向になると説明されています。また、こうしたホルモンの変化に伴う脱水や低血糖が、二日酔いの症状の一部になっているとされています。
ただし、脱水だけで翌朝の不調を説明できるわけではありません。
先ほどの大学生のアンケート調査では、のどの渇きや口の渇きは多くの人が感じていたものの、こうした「水分バランスの乱れ」の症状が二日酔い全体のつらさに占める割合は小さかったと報告されています。
NIAAAも、電解質の乱れの程度と二日酔いのつらさの間に関係は見つかっておらず、電解質を補給することで二日酔いが軽くなるかどうかも確認されていない、としています。
水分をとることは、脱水への対策にはなり得ます。でも、「水を飲めば二日酔いが治る」というわけではなさそうです。
なお、厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、健康に配慮した飲酒の仕方の一つとして、飲酒の合間に水(または炭酸水)を飲むことが挙げられています。これは、飲む量に占める純アルコールの量を減らすための工夫として紹介されているものです。
理由3:アルコールの代謝や炎症など、ほかにもいくつかの要因
Section titled “理由3:アルコールの代謝や炎症など、ほかにもいくつかの要因”睡眠と水分以外にも、いくつかの要因が挙げられています。
e-ヘルスネットでは、二日酔いの状態では炎症反応のマーカーが高くなることが報告されている、とされています。
NIAAAも、アルコールは体内の炎症を強めるとしたうえで、炎症は体調を崩したときに感じるだるさ(倦怠感)に関係するため、二日酔いの症状にも関係している可能性がある、と説明しています。
アセトアルデヒド
Section titled “アセトアルデヒド”アルコールが体内で分解されるときにできるアセトアルデヒドは、二日酔いの原因物質として説明されることがあります。厚生労働省の睡眠ガイドでも、そのように書かれています。
一方で、e-ヘルスネットの「二日酔いのメカニズム」では、以前から本命とされてきたものの、血中のアセトアルデヒドが二日酔いに関係していることを示すデータはほとんどなく、二日酔いの状態で血中に検出されることはまれだ、とされています。ただし、アセトアルデヒドを分解しにくい体質の人(飲むと顔が赤くなりやすい人など)は二日酔いになりやすいことも報告されており、アセトアルデヒドそのものではなく、その後に残る影響が関係しているのかもしれない、とも書かれています。
NIAAAは、アセトアルデヒドを、体のさまざまな臓器の炎症に関わる、毒性のある短命な物質として説明しています。
資料によって説明に幅があり、少なくとも**「だるさはすべてアセトアルデヒドのせい」とは言えない**ようです。
胃腸への影響
Section titled “胃腸への影響”NIAAAによると、アルコールは胃の粘膜を直接刺激し、胃酸の分泌を増やします。吐き気や胃の不快感は、これと関係していると考えられています。
コーヒーやシャワーで、早く抜ける?
Section titled “コーヒーやシャワーで、早く抜ける?”飲んだ翌朝、
「コーヒーを飲めばシャキッとする」
「シャワーを浴びればお酒が抜ける」
と聞くことがあります。
NIAAAは、コーヒーやシャワーで二日酔いを防いだり治したりできるというのはよくある誤解で、二日酔いを治すのは時間だけだとしています。脳がアルコールの影響から回復するのを早める方法はない、とも説明されています。
アルコールの分解についても、e-ヘルスネット「アルコールの吸収と分解」では、汗をたくさんかいたり水をたくさん飲んだりするとアルコールが速く抜けると勘違いしている人がいるとしたうえで、呼気や汗、尿から出ていくのはわずかで、分解のほとんどは肝臓で行われると説明されています。
コーヒーやシャワーで気分がすっきりすることはあるかもしれません。でも、それはアルコールの分解が速くなったということではありません。
また、二日酔いを和らげようと市販の鎮痛薬を飲む人もいます。NIAAAは、アルコールとアセトアミノフェンの組み合わせは肝臓に有害になりうること、アスピリンやイブプロフェンもアルコールと同じように胃酸の分泌を増やし、胃の粘膜を荒らすことがあることを挙げ、飲酒の前後にこうした薬を使うときは注意が必要だとしています。
アルコールが抜けるまでの時間の目安は、お酒が抜けるまで何時間?ビール・ワイン・日本酒のアルコール分解時間の目安で紹介しています。
「だるくない」は「お酒が抜けた」ではない
Section titled “「だるくない」は「お酒が抜けた」ではない”もう一つ大事なことがあります。
翌朝の体調と、体内にアルコールが残っているかどうかは別の話です。
NIAAAによると、二日酔いの症状がいちばん強くなるのは、血中のアルコール濃度がほぼゼロに戻るころだとされています。つまり、つらさの強さとアルコールが体に残っているかどうかは、そのまま対応しているわけではありません。また、二日酔いのときは注意力や判断力が落ち、運転などに影響することがあるとも説明されています。
e-ヘルスネットでは、アルコールの分解が遅い体質の人は、たくさん飲んだ翌日もアルコールが長時間残ることが多いとされています。
「朝起きて、だるくないから大丈夫」
「二日酔いじゃないから運転できる」
と、体調の感覚で判断しないでください。飲酒運転は法律で禁止されています。アルコールが残っている可能性がある場合は、運転しないことが大前提です。
「ちょっと飲みすぎたかな」は、何g?
Section titled “「ちょっと飲みすぎたかな」は、何g?”翌朝だるいと、
「昨日、ちょっと飲みすぎたかな」
と思うことがあります。
でも、その「ちょっと」は、純アルコールにすると何gだったのでしょうか。
私自身、LifeXpを作る前は、今日や昨日に何を飲んだかは覚えていても、1週間単位になるとよく分かりませんでした。
「そんなに飲んでないはず」という感覚も、けっこう当てになりません。
そこで、飲んだお酒を記録するようになりました。
LifeXpでは、
- 飲んだお酒
- 純アルコール量
- 休肝日
- 最近の飲酒状況
などを記録・確認できます。純アルコール量の計算方法は純アルコール量とは?で、実際に1週間分を計算してみた例は1週間でどれくらい飲んでる?で紹介しています。
また、睡眠や気分、食欲、体重なども記録できます。ただ、これらはLifeXpの中心機能ではありません。「毎日記録するなら、ついでに残しておこう」という補助的な位置付けです。
自分の記録は「原因の証明」ではない
Section titled “自分の記録は「原因の証明」ではない”ここは誤解のないように書いておきます。
たとえば、記録を見返して、
「ワインを飲んだ翌日は、睡眠の記録がいまいちだった」
と気付いたとしても、それだけで「ワインが原因だった」とは判断できません。
その日は飲んだ量が多かったのかもしれませんし、寝る時間が遅かったのかもしれません。仕事が忙しかった、天気が悪かったなど、ほかの理由もいくらでも考えられます。
個人の記録は、医学的な因果関係を証明するものではありません。あくまで自分の飲み方や体調を振り返るための材料です。
それでも、記録があると、
「だるかった日の前の日は、何gくらい飲んでいたかな」
と、感覚ではなく実際の数字で振り返ることができます。
記録することの意味については、飲酒量を記録すると、お酒は減る?「見える化」する意味を考えてみたでも書いています。
翌朝のだるさを、振り返るきっかけに
Section titled “翌朝のだるさを、振り返るきっかけに”翌朝だるいからといって、「もうお酒はやめよう」と思う必要はないと私は思っています。
ただ、翌朝の体調は、
「昨日どれくらい飲んだ?」
「最近どれくらい飲んでいる?」
と振り返る、ちょうどいいきっかけにはなります。
そのうえで、今日は普通に飲むのか、少し控えるのか、休肝日にするのか。
決めるのは自分です。
いつまでも美味しく食べて、楽しく飲めるように。
そのために、まず自分がどれくらい飲んでいるのかを知る。LifeXpは、そのためのアプリです。
ぜひ、ベータ版を試してみてください。
本記事は公的機関の公開情報や学術論文をもとに整理したものであり、医療上の診断・治療・個別の健康相談を目的としたものではありません。翌朝の体調から、体内にアルコールが残っているかどうかは判断できません。本記事の内容を飲酒運転の可否判断に使用しないでください。体調不良が続く場合や健康上の不安がある場合は、医療機関等の専門家にご相談ください。詳しくは運営者情報・情報ポリシーをご覧ください。